スウェーデンでの海外運用
今回のSMでの運用について、今後、同国にて運用される方のためにも、下記のとおり、そのライセンス取得状況や運用状況を記しておきたいと思います。
ライセンス
ご存知のとおり、スウェーデンにおいては日本はアマチュア無線の相互運用協定はありません。 このため、まずどういう機関がライセンスの発給に関与しているのか調べました。 いろいろと検索してみた結果、QTC JapanのサイトにJR4QZH OMのスウェーデン、デンマークの運用記事を見つけました。 このページは直リンクでは行けないようですので、まずはQTCのサイトから検索で「スウェーデン 運用」などのキーワードで検索してみると見つかると思います。
この記事は2001年当時のものですが、それほどライセンス許可を得ることが困難ではないように思えました。 このページを参照させていただき、まずは、スウェーデンでライセンス発給を行っているPTS(The Post & Telecom Authority)のホームページを見てみました。 すると、2004年からだいぶライセンス発給方式が変わっているようで、個々の局免許は廃止になって、日本で言う従事者免許だけになっているようです。 現在はSSA(National Society of Radio Amateure in Sweden)という組織が、この従免とコールサインの発給を行っているようです。 しかし、こちらのホームページはスウェーデン語だけでよく判らないため、PTSのコンタクト先に連絡をしてみたところ、すぐに担当の方から連絡があり、SSA側にもメールをCCでコピーした上で、下記のように、ストックホルムエリアでの運用であれば、SM0/JH0CJHで自由に運用して良いという許可のメールが届きました。 すばらしく柔軟、かつ寛大な対応です。 QTCの記事には運用のためのライセンス費用を、スウェーデン到着後に支払ったとの記述がありましたが、これも現在は無いようです。 しかし、これは、もしかしたら私の滞在が短かったからかもしれませんので、この点は未確認です。 下記は、メールの関連部分の抜粋です。
You are free to use your amateur radio during your stay in Sweden. Please use a callsign such as SM0/JH0CJH when transmitting from the Stockholm area. Also, bring your amateur certificate and, if applicable, your radio license as proof of being a licensed radio amateur.
また、メールにはスウェーデンで運用許可されている周波数も、下記のように連絡していただきました。
一応、このサイトにある、申請用紙に必要事項を書き込んで担当の方に送っておきました。
PTSの担当の方には、到着後も頻繁に連絡を取り、本当にお世話になりました。 情報の提供だけでなく、ストックホルム南部の郊外にある、クラブハウスにも招待されたのですが、残念ながら業務の都合でこちらはかないませんでした。 この次に来たときには、ぜひ訪問させていただきたいと思います。
このように、免許申請はすごく簡単にできました。
運用
今回、このように、運用のライセンスは取得できたのですが、スウェーデンは、はじめて行く国で、どんな場所なのか、どんなホテルなのかも判りません。 ホテルの予約が取れたのが、出発前日の夜。 インターネットで調べてみるとなんとなく、開くことのできる窓が有りそうで無さそう。 窓を開くことができなかったら、それこそ荷物を持っていくだけになってしまいます。 まあ、このあたりは思い切って、簡単な無線機材を持って行くことにしました。
ホテルについてチェックインのときに、できるだけ上の階にして欲しいと頼んだところ、幸いにも最上階の6階、(日本の7階)に空き部屋がありました。 窓から見る景色が現地からアップしたものです。 周りは住宅や市街地でもなく、なかなかのロケーションです。 窓は外から見るよりも、比較的大きな窓で、しかも出窓のようになっており、ATUを出窓の上に置くことができ、絶好の環境でした。
運用は、窓から釣竿を伸ばして、それにLWを這わせるという非常に簡単なものです。 ホテルのTVを見ながらTVIが出ていないことを確認しながら運用しました。 ただ10MHzでは、TVIではないものの、リグ自体に回り込みがおきていたようですので、今回は運用を行いませんでした。
スウェーデン到着後は、仕事の準備でそれどころではありませんでしたが、2日目の打ち合わせを終えたあたりから、夜は自由になり、少しだけ運用してみました。 最終日は翌日のチェックアウトまで自由な時間です。 徹夜で運用をやろうかとも考えましたが、結局、疲れには勝てずにダウン。 爆睡してしまいました・・・hi このようにQSOの大半は最終日の仕事を終えたあとで行うことになりました。 運用はほとんどが、14MHz、そのほかは21、18、7MHzでの運用です。
総交信局数 : 485 QSO
カントリー別局数・比率
カントリー別比率グラフ
周波数別局数・比率グラフ
DX Scapeでのレポート
感想
運用してみて感動したことは、CQを出してすぐに呼んでくれるJA局がいたことです。 私の設備は窓から針金を出した程度の非常に適当なものです。 さらに、日本は深夜ですが、すばらしいワッチ力に、ただ感心しました。 また、よくDX Peditionに日本の局のマナーが悪いということが、しばしば報告されていますが、今回運用してみて、日本のアマチュア局のマナーは非常に良いと感じました。 それほど珍しくも無いカントリーからのQRVということもあると思いますが、もっともっとひどい指定無視、超ロングコール、コールバック局以外からの応答を行う局がたくさんいました。
いつもは出張時には、無線をやろうなどと思ったことは無いのですが、この春にハワイで運用したときの楽しさが忘れられず、また今回の出張は忙しい時と自由になる時間の波があることが、あらかじめ予測できていたので、突然でしたが、やってみようと思いついたものです。 しかし、ライセンスが出発前にめどが立たないなら、あきらめるつもりだったのですが、上記のように非常に簡単にライセンスを許可いただきましたので、運用に踏み切ることができました。
最後に、JA局はじめ、世界中から、たくさんのCallを頂いたこと、Swedenの各局のサポートに深謝申し上げます。
お仕事と運用ご苦労様でした。
なるほど、SMあたりになると免許自体も簡単にOKになるようですね。
行く機会は無いかもしれませんが(もしかすると?)、参考にさせていただきます。
なかなか相互運用協定で出来る所に行くことは無いのですが、
海外からQRVしてみたいですね。(一番チャンスがあるのはBYかな?)
早朝にワッチしていたら、CJHさんのCQをたまたまキャッチして、
まずはQRPでコール。
う~ん、届かない。
では、50wにQROしてコール。
何とかQSO出来て大変嬉しかったです。HI
でもその後のJA局はすんなりQSOされていたので、やっぱり、
ここぞという時のパワーが50wでは不足ですね。
近々QRO(と言っても100wですが)しようと思っております。
QSOありがとうございました。
こんにちは、いまのところスウェーデンから運用する予定はないのですが
興味深く読ませて頂きました。
非常に良い経験をされたことがシェアされていて良かったです。
こういった話を読むと無線をやりにスウェーデンに行きたくなってしまいました。
それにしても、随分と局数をこなされましたね。
さすがです(^^)/
TCVさん
絶妙のタイミングだったようです。18MHzに移ってすぐでした。EUでの運用は、いろんな国からコールもらえるので楽しかったです。
ポリさん、
今月のCQ誌にもCWでの運用中の写真が載ってましたよ。いいですね。 今回のSM自体は珍でもないけど、JA以外の運用は楽しいですね。 ハマりそうです。 ポリさんもまたカリブでの運用よろしくPJ4まだ取れてないし・・・ 44
いつも楽しく拝読させて頂いております。
初めて投稿させて頂きます。
私は仕事のため、1998〜2002年の5年間、SM7 に
滞在する機会に恵まれました。現地で SM の免許を取得し、
50 MHz を中心にオンエアしていました。そのときの運用記の
冒頭で、アマチュア局の免許の取得について紹介したのですが、
http://jn1bpm.sakura.ne.jp/sm7xqz/
ご指摘の通り、2004年以降、SM のアマチュア局の免許の
システムが急速に簡素化されました。実は、私自身も最新の
免許のシステムが良く分からない状態となっていたため、
今回の SM0/JH0CJH 運用記は、非常に興味深く拝読させて
頂きました。
SM6/JR4QZH 局のときは、紙の臨時免許が発給されたと記憶
していますが、今回の SM0/JH0CJH では、紙の臨時免許は
発給されなかったのですよね? メールのコピーを臨時免許の
代わりにして運用されたのでしょうか? SM での運用の敷居
が低くなったことは、非常に歓迎すべきことと思います。
以下、SM におけるアマチュア局の免許システムについて、
私の知る範囲で情報提供させて頂きます。
(④ 以降は余談です。)
① SM と JA の間には正式な相互運用協定はありませんが、
現実的には「ある」と考えて良いと思います。SM のお役所は、
頭の固い某国のお役所とは大違いで、何でも良きに計らって
くれます。
② アマチュア局の資格認定(資格試験)と免許の発給は、
2004年10月に PTS(郵政通信省)から SSA
(SM アマチュア無線連盟)に全面的に移管されました。
よって、今後 SM で運用を希望される方は、SSA 事務局の
SM6JSM Eric へメールでその旨を申し出れば、簡単に許可が
下りるものと思われます。E-mail: hq (at) ssa.se
③ 以前は、50 MHz にオンエアするためには特別な免許が
必要でしたが、現在は不要です。
④ SM のアマチュア局の免許は、W と同様の包括免許です。
紙切れ1枚に資格とコールサインが記載されています。
⑤ 以前は、資格試験の合格証明書(certificate)と ④ で
述べた包括免許(license)の2つの書類の所持が義務づけ
られていましたが、② と同時期に、certificate にコール
サインまで記載されるようになりました。免許の見た目が
以前とどのように変わっているのか興味があります。
私が SM7XQZ の license を取得した際は、PTS から「JA の
従免が certificate になるので、資格試験の受験は不要」
と言われました。
⑥ 以前は、アマチュア局の免許所有者は、登録料(?)を
毎年支払う必要がありましたが、② とほぼ同時期から無料
となり、免許の有効期限も10年→無期限となりました。
GSYさん
こんにちは、2003年に6mSSBで交信いただいているようです。
SMでの運用記事、すばらしいですね。Webの記事まだ全部読んでいませんが、後でじっくり読みます。私はPTSのChrister氏にずいぶんお世話になりました。ライセンスは、PTS発信(GSYさんが言われているSSAのアドレスにもChrister氏から送付されていました)のSM0/JH0CJHでの運用許可する旨の許可通知メールを元に、SM0/JH0CJHを運用しました。さらにPTS指示通り日本の免許証と免許状は持参しました。 PTSの寛大な措置には、本当に頭が下がる思いであります。
SM7XQZ 運用記の情報は既に10年も前のものですので、
最新の SM0/JH0CJH 運用記にコメントさせて頂ければ、
SM で運用を計画される方々には有用な情報になると
考えて、調子に乗って長々と書き込んでしまいました。
誠に失礼致しました。
私も、PTS の寛大さには、何回も感謝・感動しました。
多くの JA の方々が SM からオンエアされることを
願っています。周囲を海に囲まれた JA ではなく、
大陸の真ん中からオンエアすると、全く違った世界が
体験できると思います。
SM7XQZさん、
了解しました。 お気遣いありがとうございます。私は海外からのQRVはほとんど経験が無いのでそのあたりの伝播特性には非常に興味があります。また他のところからもQRVしたいと思います。情報の共有ありがとうございました。
SMからの運用記 楽しく拝見しました。
ご記載の通り、私がライセンスの発給を受けたのは12年前ですが、
紙ベース(ペラペラのレター1枚ですが)のライセンスがPTSから送られてきて、SM到着後、ライセンス料を郵便局で払い込みました。
現在は、非常に簡潔になっているようですね。
一昨年は、スペインに行きましたが、FAXで滞在場所を知らせれば運用していいよという、これまた簡単なものでした。
どこかのお役所とは大違いですね。
いつか、お空でお会いできることを楽しみにしております。
de JR4QZH ex S21YO
QZHさん
SM運用のパイオニアの方からの書き込み深謝いたします。 EAからの運用も簡単に認めてもらえるようですね。 貴重な情報ありがとうございました。 聞こえていましたら、よろしくお願いします。