SOTAwatch3というのはSOTAにおける「リアルタイムクラスター+運用予告掲示板」という言葉で表現できます。なぜ3という数字が付いているのかという理由は、いままでSOTAwatch、 SOTAwatch2と進化し、現在は3世代目という意味です。まずはSOTAwatch3のサイトを見てみましょう。
SOTAwatch3サイト: https://sotawatch.sota.org.uk/
1. SOTA Spots
まずSOTAwatch3のサイトに行くと現れるのは、このSOTAスポットの画面です。
ここでは世界中の山頂でSOTA運用をしているアクティベーションがリアルタイムで見ることができます。チェイサーの方はここを見て運用局を呼ぶことで効率の良いQSOが可能となります。まさにSOTAのクラスターです。このサイトを見るだけであればユーザー登録する必要はありませんが、自分がアクティベータとしてスポットする場合には、ユーザー登録とログインが必要です。これは前回少し触れましたがSOTA Databaseとシングルサインオンになっていますので、データベースの方で登録済みであれば同じユーザー名とパスワードでログインが可能です。もしかしたら、データベースの方がログイン済みであれば既にSOTAwatch3でもログイン済みとなるかも知れません。ユーザー登録の方法は、前回のデータベースの登録と同じため、今回は割愛します。
スポットの仕方は簡単です。SOTAwatch3のウェブサイトにログインした後、右上の「Add Spot」をクリック。
下のような画面がポップアップしてきますので、必要事項を入力しAdd Spotをクリックするだけです。
通常のクラスターでは、セルフスポットはタブーですが、SOTAの山頂でのアクティベータ運用は非常に短い運用時間になることから、SOTAwatch3ではアクティベータの方のセルフスポットも許されています。
ここで少し考えてみてください、山の上に行ってネット環境があれば当然セルフスポットも可能ですが、通常、高山の場合は山頂にネット環境があることは少ないと思います。そこをどうやって対応するのかについては、もう少し後で説明します。
2. SOTA Alerts
次は運用予告掲示板であるSOTA Alertsです。画面の左上にあるタブでSPOTSとALERTSがあります。この「ALERTS」をクリックすると下のようなアラート情報を表示する画面になります。
将来の運用日時や運用コールサイン、運用SOTA山のコード、運用周波数モードなどが記述されています。その他の情報として運用時刻の+/-時間や誰と一緒に行くなど、いろいろな情報が掲載されています。これを見てチェイサーの方は前もって準備をすることができます。SOTA Alerts情報は、SOTAwatch3のサイトにログインした後「Add Alert」をクリックすることで登録します。これはスポット情報の入力方法と似ていますが、登録アイテムとして自分の運用する日時(UTC)が追加されることになります。アラートの入力方法はスポットとほとんど同じですので詳細は割愛します。
以上がSOTAwatch3の基本的な機能ですが、このSOTAwatch3を使う上でいろんなツールやプラットフォームがありますので、簡単に説明します。
3. SOTA AlertsからSOTA Spotsへの情報リンク
SOTA Alertsに事前に運用予告をしていても実際にその時間にアクティベータがQRVしているとは限りません。これは山という自然相手の苦行を経て山頂に立ち、そこから運用するわけですから、山に登るアクティベータの方にはいろんな障壁が待ち構えているわけです。悪天候、ケガ、山道の封鎖、山行スケジュールの見込み違い、リグ、アンテナの不調などいろいろと苦難は待ち受けます。このため実際に運用できた時にそのアラートがそのままクラスター情報であるSOTA Spotsにスポットされると大変楽になります。この機能が先ほどネットワークの無いところでのスポット機能です。この機能は皆さんも良くご存知のReverse Beacon Network(以下RBN)を使って実現されています。
どういう仕組みでこれを実現しているのかというと、CW運用モードだけになるのですが、RBNHoleというシステムを使っています。まずアクティベータの方がSOTA Alertsとして運用予告情報を上げます。その後、その運用予告時間近辺(1時間前から3時間後くらい)の時間、RBNHoleがRBN情報をサーチし続けます。そしてアラート情報にあるコールサインをRBNの中に見つけると、それを周波数情報とともにSOTA Spotsに投稿してくれることで実現しています。
これはもともとRBNGateとしてKU6J、Ericが作ったシステムですが、残念ながらEricは2016年にSKとなってしまい、RBNGateの運用が停まってしまいました。その後SOTA日本支部の生みの親でもあるVK3ARR AndrewがRBNHoleとしてシステムを再構築してくれたものです。RBNGateがRBNHoleに変わったのですが「Hole」という少し変な名前も、「きれいでフェンスに囲まれたゲート」などではなく、「粗雑な覗き穴」というAndrew特有の自虐ユーモアです。Ericが亡くなり、SOTA SpotsとRBNのリンクが無くなりSOTA界が絶望に瀕した中、4か月でこのRBNHoleを作り上げたAndrewに感謝したいと思います。
4. APRSでのスポット
このようにアラート情報をあらかじめ上げておいて、運良くRBNに拾ってもらえればCWの場合は自動でスポットされますが、CWモード以外での運用やRBNに自分の信号が拾ってもらえない可能性もあります。このような場合に備え、APRSでSOTAスポットすることも可能です。APRSについては私自身が初心者ですので語ることもできませんのでAPRSの解説を見ていただくのが一番良いと思いますが、APRS機能付きのハンディ機でI-Gate局に対し、決められたフォーマットでデータを送り、そのスポット情報がイギリスのG0LGS局の運用するAPRS2SOTA GatewayでSOTAwatch3にスポットされます。この機能を使うにはG0LCS、Stewartにメールで自分のコールサインを登録してもらう必要があります。APRSで送るデータは次のような標準フォーマットになります。
<Ass/Ref> <Freq> <Mode> [callsign] [comment]
すべてのデータをスペースで区切ります。[ ]で囲んだコールサインとコメントはオプションで無くてもOKです。例としてはこんな感じになります。
JA/KN-001 145.20 FM JH0CJH/1 Hirugatake
これでI-Gate局に拾ってもらえれば自動でSOTAwatch3にスポットされます。APRSのSOTAスポットデータの送信先、及び詳細は下記のサイトをご参照ください。
https://www.sotaspots.co.uk/Aprs2Sota_Info.php
5. その他のSOTAwatch3周りのツール、プラットフォーム
5.1 SOTA SMS
携帯のSMSテキスト送信機能を使ったスポット情報の登録です。スマホなどでSOTAwatch3のWebサイトにアクセスできないような細いデータ通信回線容量でもテキストデータなら通ります。システムとしてはAPRS2SOTAと似ています。テキストのフォーマットは
CALLSIGN ASSOCIATION SUMMIT FREQUENCY MODE COMMENT
各データの間はスペースで区切ります。例としてはこのようになります。
JH0CJH/1 JA KN001 145.20 FM Hirugatake
こちらはイギリスのMM0FMF Andyが運用しているゲートウェイを通過させますのでユーザー登録が必要です。Andyにメールを送って登録してもらいます。
SMSによるスポットデータの宛先、及び詳細は下記のサイトをご覧ください。
https://www.sota.org.uk/Joining-In/SOTA-SMS-Format
5.2 SOTA Spotter
アンドロイドスマホ用のアプリです。SOTAwatch3同様スポット情報とアラート情報がアップロードできます。SOTAwatch3の使い方を知っていれば、詳しい説明は必要ないくらい使いやすいアプリです。
5.3 SOTAwatch spots
Twitter上でSOTA Spots情報を通知してくれるプラットフォームになります。
@SOTAwatch
でTwitter上で表示させます。
5.4 SOTAwatchspotJA
これはJL1NIE局が作ったTwitterとの連携プラットフォームでJAに限ったSOTA Spots情報を通知してくれます。
@SOTAwatchspotJA
で表示させます。毎朝8時にその日の登録されているAlert情報を通知してくれる機能もあります。
(この記事は2020年3月にFBニュースに掲載されたものと同じです)