
WWVでスペアナ校正
今日、YouTubeをいろいろと見ている中で興味のあるタイトルを見つけました。
WWV信号でRIGOLのスペアナDSA 815の周波数校正を行うというビデオです。
WWVはアメリカ、コロラド州にある標準周波数時報局であり、1922年から標準周波数局として運用を開始、10MHzでの運用は1935年に開始しました。 1991年には現在の原子発振器を使った10e-13の精度で標準周波数を送信しています。 この10MHzの信号は日本でも受信できます。 以前は日本にも10MHzの標準周波数時報局JJYがありましたが、2001年に運用を停止し、現在は40kHzで福島県田村市のおおたかどや山送信所と60kHzで佐賀県佐賀市のはがね山送信所から長波の標準周波数時報信号が送信されています。 これが電波時計の時刻校正の標準時として使われています。
さてWWVで本当にそんなに正確に周波数校正ができるのでしょうか? これがそのビデオの内容です。
周波数校正の方法はビデオにある通りですが、最新版のFWでは操作が違うところがあるようなので、下記に手順を書いておきます。
- 「System」「Calibrate」「Self-Cal」をOffに設定。 これはOnだと10分毎にセルフキャリブレーションが入るためこれを一時的に止めておくためです。
- 「Freq」「Center Freq」を10MHzに設定。
- 「Span」で100Hzを設定。
- 「Ampt」でレベルを ‐100dBm程度にするとノイズフロアが見えてきます。 ビデオの2分くらいのところで、アンテナを接続しなくても10MHzのキャリアが見えていて、これは内部からの漏れSpurだと言っていますが、これは漏れ信号ではなく、アンテナ接続無しで、すでにWWV信号を受信できているためと思います。我が家ではアンテナ接続無しでは10MHzには何も見えませんでした。さすが米国では信号強度も強いようです。
- アンテナを接続。 受信だけなのでHFのアンテナであれば何でもOKと思います。 10MHzのアンテナがあればそれに越したことはありません。
- 「BW/Det」「RBW」で10Hzに設定 「VBW」も同時に10Hzになります。
- 「Trace/P/F」「Trace Type」で「Video Avg」を選択。 QSBなど伝搬上の影響を抑えるためですね。
- ここで私の場合はピークの測定値が10.000000MHzのWWV信号とぴったり一致しています。 このため校正をする必要はありませんでした。
- もしこのピーク値がずれている場合はメンテナンスモードに入って調整をします。 ビデオの中でも言っていますが、このビデオでは判りやすいようにあらかじめ6Hz 程ずらしてあるようです。
- ここからの設定は自己責任でやる必要があります。扱い方を間違えるとすべての校正データが消滅します。
- メンテナンスモードに入る方法はビデオのやり方では現在のFWでは動作しませんでした。 いろいろと調べた結果、次のようにボタンを押してメンテナンスモードに入ることができます。 「Trace/P/F」「TG」「Marker Fcn」「Meas Setup」「System」「Print Setup」「Storage」「Meas Setup」「Meas Setup」 この順に9個のボタンを押します。 すると「Welcome to Maintenance Mode」というメッセージが画面に出ます。
- この状態で「System」の2ページ目にServiceというメニューが出るようになります。
- ここから「Service」「Calibration」で出てくるメニューの「Ref DAC」の数字を変えることで校正ができます。
メンテナンスモードの操作は隠しコマンドなのでくれぐれも操作は間違いのないように注意してください。 自己責任です。 特にCalibrationメニューのClr Int Calを押すとトラッキングジェネレータの校正データが一発で消えてしまうようです。
はるかアメリカから到達する1920年代から開始されたWWV信号(もちろん精度は改善されていますが)で、スペアナのような最新機器の周波数を校正できるというのはロマンを感じます。
こんにちは。
いつもためになる情報をありがとうございます。
家の DSA 815-TG でも試したところ、RBW が 100Hz までしか設定できません。
DSA 815-TG のバージョンを調べると、家のはそうとう古く、最新のファームウェアが対応していない程です。それで RBW も 10Hz に設定できないようでした。
残念です。(´;ω;`)
でも WWV の信号で、それほどズレていない事がざっくりと確認できたので良かったです。
中華格安 GPSDO もあるので、精度が欲しい時はその出力を外部クロックにしようと思います。
JR1KDAさん
こんにちは、確かに2012年ころのマニュアルを見るとRBWは100Hz が最小のようですね、2014年のマニュアルでは最小RBWは10Hz になっています。ほとんどキャリブレーションの必要はなさそうですね。私のものもぴったり合っていました。You Tubeビデオのものはわざと6Hzくらいずらしておいたとのことです。