1kWへの道-2


リグとリニアアンプは時間もかかりましたが、なんとか準備が整いました。 しかし、まだまだやることは山ほどあります。

まず手を付けたのはアンテナです。

当初の計画通り、タワーを建てるのではなくダイポールアンテナを使います。 いままで私はWARCバンドを除くHFの3.5~28 MHzは元々W-8010 というマルチバンドダイポールを使っていました。 こちらは耐入力1.2kW PEPです。 CWでは400W程度までは大丈夫ですが1kWまではとてももちそうにありません。 さらにWARCバンドですが、10MHzは以前から使っているモノバンドのダイポールアンテナがありますが、バランはW-8010と同じ耐入力1.2kW PEPで耐電力が不足しています。 18MHzと24MHzはもともとアンテナが無く、50MHzのアンテナは数年前に大型台風が来る時に撤去したため、これもありません。

ということで、結局1kW化を考えた時には使えるアンテナが何もない、ゼロからの出発です。

HF~50MHzの全バンドをカバーし、しかも1kWという大電力を扱えるようなアンテナと言えば、W-8010のようなマルチバンドのダイポールですが、1kW耐電力のトラップコイルなどは市販品にもなく、いろいろ悩んだ挙句、ギボシ端子でアンテナを切り替えることにしました。しかし1本のアンテナをギボシ端子で切り替えるのはあまりにも自由度が低いです。周波数を変えるたびに屋上に登って切り替えないといけないことになってしまいます。 そこでこんな感じで少なくとも4バンドは同時に出られる形にしました。

Antenna 1 : 3.5/3.8/7/21MHz を1エレメントのギボシアンテナで作成、同時給電で14/28MHzのギボシアンテナ

Antenna 2 : 10MHz を1エレメントのモノバンドアンテナで作成(再利用)、同時給電で18/24/50MHzのギボシアンテナ

(注:この周波数構成はちょっと問題が起きる可能性があります。これはまた別投稿とします)

これで良く出る14/10/18MHzと7MHzもしくは21MHzの4バンドにはギボシ端子の切り替え無しで出ることができます。しかも7MHzのフルサイズアンテナには21MHzも同調できますので、ギボシ端子で7MHzに設定しておくと、5バンドは切り替え無しで出ることができます。 これにより各バンドでフルサイズのダイポールで出ることができるのでバンド帯域も広く取ることができます。

ただ3.5/3.8 MHzだけは長さの関係でフルサイズは難しく、今まで使っていたW-8010 のトラップコイルをローディングコイルとして使うことにしました。 耐電力は少し不安もありますが、3.5と3.8MHzは落成検査を受けてしまえば、あとは1kWの大電力を入れることはほとんどなく、500W程度で出ることにすればこれで十分です。

バランも耐電力が不足していたので2.5kW PEPまで使用可能なものに取り換えることにしました。 アンテナを折り返す場所には安全のため玉子碍子を使用します。

アンテナ線は2.0mm SQの600V IV線で撚線ではなく電流容量も大きい単線としました。もう少し太いほうが良いかなとも思いましたが取り回しなどもあるのでこれで必要十分かと思っています。

今まで使っていたアンテナの支柱はステンレス巻の物干しざお、布団干し竿でしたが、これもちょっと古くなり、1kWを出すアンテナを支えるには不安要素もあったので、すべて4mの単管に交換。 給電部分の支柱だけ1m延長し5mとしました。

そして単管の先端にはすべて滑車を付けました。

この滑車を使うことでアンテナの上げ下げを自由にできるようになります。これはギボシ端子の切り替えのためにも必要です。

中心となる給電点の支柱の滑車はバラン2個と全エレメント、さらに同軸ケーブル2本が吊り下げられる場所ですので結構重量もあり、滑車や上げ下げのロープは大きく太目のものとしました。

この給電部分は8本のエレメントが交錯する場所であり、上げ下げするとエレメント線の絡みかたが変わるので、それによってSWRの再現性が悪化する部分です。このため単管に60mmの塩ビ管を通し、バランをその塩ビ管に固定しています。アンテナの上げ下げはこの塩ビ管を上げ下げしています。 これによりエレメントの交差部分の場所が固定され、アンテナを上げ下げした時の再現性が保たれます。 この点コメットの2.5kW耐電力のバランは支柱に取り付けやすいように背面が円筒保持の形になっていますので、塩ビ管に固定しやすくなっています。

SWRはアンテナアナライザーを使いながら、カット&トライで追い込みます。

こんな感じになりました。

3.5MHz

3.8MHz

7MHz

10MHz

14MHz

18MHz

21MHz

24MHz

28MHz

50MHz

7MHzだけがSWRが落とせていませんが、これはまわりの何かの影響を受けているものでどれだけ調整してもこれ以上は下がりませんでした。 周りの誘電体からの影響なのでチューニングを取ることでSWRはしっかりと下がってくれますので問題はありません。

21MHzも同様で少し同調点が上にありますが、少しでもエレメントを長くすると周りの影響を受けて形が崩れるのでこの状態でOKとしました。

これで1.9MHzを除く、HF~50MHzバンドのアンテナは準備できました。

1kWへの道-3につづく


JA1CTV
1kWへの道

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