ギボシアンテナ


週末は、暑かったですね。 台風が過ぎた後は、しばらく涼しい日が続いていましたが、週末は、いきなり真夏に戻ってしまいました。 涼しさに少し慣れてきた体には、つらいものがありました。 週末は、以前から計画していた、ギボシ端子を使ったダイポールアンテナをようやく作ってみようかと思い、土曜日に材料をかき集めて作ってみました。

以前から購入してあったダイポール用のバランの他は、まずアンテナライン用のビニール被覆線、プラスチックのネームラベル、小型の結束バンド、滑車、滑車用の紐、滑車の固定用のクランプ、そして肝心のギボシ端子です。

アンテナの構造としては、通常の半波長ダイポールを、ギボシ端子で結んでいく簡単なものです。 しかし、直接ギボシ端子に、アンテナの張力がかかると抜けてしまいますので、アンテナの張力を逃がす構造が必要です。 このギボシ端子の保持部分の絶縁体には、多くの人が使っているように、日曜大工センターで売っているプラスチックのラベルを使いました。

私が作ったのは、28MHz、24MHz、21MHz、18MHz、14MHz、10MHz、7MHzの7バンド用です。 本当は3.5MHzもカバーしたいところですが、全長40m近くなるため、これはあきらめました。でも将来、この3.5MHz分が簡単に追加できるように、何らかの工夫しておきたいところです。 これは今後の課題です。 また、50MHzはバランが対応していないため、これもあきらめました。 私の場合、ダイポールで50MHzはカバーしていなくても、八木アンテナで対応することになるでしょうから、この7MHz以上のHFフルバンドカバーで当面は十分です。

各エレメント長は、このJI5RPTさんのサイトを参照させていただきました。
http://www.ji5rpt.com/column/giboshi.html

各エレメントの長さは、RPTさんのサイトにある数値で、ほとんど調整なしでOKかと思います。 以下私の気がついた作り方のコツを記述します。

まず、バランとの接続を圧着端子でつくります。 この後の調整の仕方ですが、28MHzから順番に調整していくことになりますが、私が最も気にしたのは、ある周波数で調整をしても、その後の(外側に連結される)アンテナラインが隣接することで、この影響が少なからず有るだろうという点です。 つまり、28MHzのエレメントには、すぐ外側に、次の24MHzのアンテナラインが隣接しているわけで、28MHz単体で調整をしても、あとから、この24MHzの隣接エレメントを付けたら、せっかくの調整が無意味になるのではないかという点です。 このため、最初からアンテナ全体を作って、実際の運用と同じ環境を作った上で、調整をしていく必要があるだろうと思いました。 このため、私はRPTさんのサイトにある各周波数でのエレメント長の数字を5cmから20cmくらい長めに準備し、ネームラベルに簡易的に結んで、調整を行いました。

調整前のエレメントの構成は下記の様になっています。 Bはバランです。 バランの反対側(左側)も同じ形ですが、図では省略しています。 ポイントは各ラインの調整側はラベルに仮止めとし、次のラインのバラン側は、最初から本止めで良いという点です。 余分な長さの切断は、反対の仮止め側だけで行うことができるためです。 これはアンテナの調整中に気がついた点です。

B———仮/ラベル/本止め———-仮/ラベル/本止め———- ・・・続く

各ラインでのバラン側の本止めは、ラベルにアンテナラインを通して、オス型ギボシ端子をつけ、結束バンドで固定します。 仮止め側は単にラベルにアンテナラインを縛るだけです。 これで一応ギボシダイポールアンテナの全体像ができました。

さて、このようにアンテナの全体は出来ましたが、いちいち、アンテナ調整のたびに、アンテナを下におろして、カットアンドトライをして行くというのは、とても大変です。 また、頻繁なアンテナの周波数切替のためギボシ端子の接続、切断を行う際にも、滑車を使ってアンテナのバラン部分を上げ下げできると大変便利です。 というよりも、滑車なしでは実用的ではありません。 私は、アンテナのポール最上部に、写真のような日曜大工店で売っているクランプで滑車を取り付けました。 この写真のような、クランプは非常に保持力のあるものなので、多少の重さの上げ下げには、びくともしません。

バラン側にはこのように滑車のひもを取り付けておきます。

また、ジュラルミン製のアンテナポールのアンテナへの影響などもあると思い、塩ビパイプをアンテナポールの上に付けて、そこにバランが来るように滑車を取り付けることも考えましたが、よく考えてみると、私のこのアンテナの使い方は、おそらく50MHzのアンテナを上げた直下に取り付ける事になると思います。 このため、ダイポールが50MHzアンテナの上に来ると、アンテナが回せなくなってしまいますので、塩ビパイプは使わない事にしました。 どのような環境で使うケースが多いか決めて、実際の使用環境と調整する環境を合わせておく必要があります。

アンテナの調整は、各周波数で周波数の高い方から調整していくだけです。 私は、この調整にアンテナアナライザー AA-54 を使いましたが、SWRを見ながらのカットアンドトライでもかまわないと思います。 しかし、無線機で送信できる帯域外から、SWRの落ちる同調点がわかるところは、アンテナアナライザーの有効な点です。

このようにカットアンドトライで、各エレメントの調整を行います。 可能な限り、まわりに構造物や伝導体の無い、オープンスペースで行うべきでしょう。 私は土曜の午後に寒川町の相模川河川敷、日曜早朝には厚木市の玉川用水周辺、そして午後には海老名市の相模川河川敷の3ヵ所で行いました。 再現性も特に問題はありませんでしたが、一つだけ問題が起きました。

それはギボシ端子の圧着ですが、正規の圧着工具を使うことは、もちろんですが、肝心なのはあまりにも力を入れて圧着(かしめ)をしすぎないことです。 私は、アンテナを作った後、何度か、SWRの異様な上昇に悩みました。 ついさっきまで、調整を行い、SWRも下がったはずなのに、SWRがいきなり高くなったり、ギボシ端子を接続したのに、次の周波数の調整がまったく出来ないというような事が何度か起きました。 これはギボシ端子自体の導通が問題では無く、ギボシ端子のライン保持部分の、かしめが強すぎるため、ビニール被覆線の導線が内部で切れてしまうものでした。

ギボシ端子を見たり、かしめた事のある方はご存知だと思いますが、ギボシ端子にはオスメス問わず、かしめる場所が2箇所あります。一箇所は先端の接続点に近い、①導通確保部分、もうひとつはビニール被服ごとかしめる②ライン保持部分です。 私の場合は、この2番目のライン保持部分をあまりにも強くかしめたために、内部で導線が切れていたものです。 力を入れてかしめたくなりますが注意が必要です。

このようにして出来た、ギボシ端子ダイポールアンテナは、本当にすばらしい性能です。 すべてのバンドでフルサイズであること。 使用できる帯域も広く、耳も良いし、飛びも良い。 広い場所でないと、このアンテナは使えませんが、50MHzの6エレを持っていくような移動時には必ず持って行きたいと思います。

SWR特性はまた別途報告します。


JA1CTV
装備の道

2件のコメント

  • JF1DIR

    こんばんは。JF1DIRです。
    ギボシ愛好者です(笑)。ぼくは、14/10/7MHz用にギボシを作ってあり、21MHzは7MHzの3倍高調波で使っています。エレメントの両端に約1mの延長できるようにしておいて、6MHzに共振させて18MHzにオンエアしています。給電点の上げ下ろしが面倒なので、エレメントの末端をいじるようにしたというわけです。Hi。
    また、3倍高調波のダイポールは輻射パターンが8の字じゃなくなるのですが、少しハイゲインのようです。

  • JH0CJH

    DIRさん
    そういうアイデアもありますね。3倍波長のアンテナで同期させた場合の帯域とかSWR特性はどうなるのでしょうか? いつか実験してみたいですね。

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