1kWへの道-1


2021年の年頭にいろいろと考えるところがあり、今年の目標をいくつか決めました。 いくつかある目標のうちの一つがアマチュア無線局JA1CTVの1kW免許取得です。

私が中学生の時にアマチュア無線を開局したのが1975年。 ちょうど11年周期の太陽活動のサイクル20の終わりでした。 その次のサイクル21ではちょうど大学生でアマチュア無線とは少し距離をおいた時期でした。 もっとも、その時に興味を持っていても大学の近くの安アパートからではQRVできるような環境ではありませんでした。 次のサイクル22の時には私も無線界にカムバックしていたものの、仕事が忙しく、子供も生まれ、無線どころではない生活でした。 次のサイクル23は仕事でイギリスに赴任中であり、この時もまたQRVできず。 サイクル24では、またまた仕事も忙しくなり、ほとんど出張で海外に出ているような毎日でした。

こんな感じで、ことごとく11年周期の太陽活動の活性時期を逃してきました。 そして次のサイクル25こそ、我がアマチュア無線人生の醍醐味を味わえる時が来るというわけです。これが1kWの免許取得目標の最大の理由です。

普通1kW局だとタワーを建て大型のアンテナを使って申請することが多いと思います。 しかし、自宅は伊勢原市の住宅街にあり、タワーなどを建てることは、いろんな観点からやりたくありません。 高額なお金が必要になることもありますし、巨大なアンテナは住宅街には異様な光景に映ってしまい、威圧的な形になることも避けたい、さらに自分がいつかあの世に行った時の後始末をするのが大変だろうと思うこともあります。いまや人生100年ですから、まだあと40年はあるのですが、こんな理由で自宅でのタワー建立はあきらめざるを得ない状況です。幸い自宅は小高い丘の上にあるのでダイポールでもパワーだけ手に入れればそれなりに楽しめるものと思っています。

自宅のダイポールアンテナ程度で1kW化計画が本当に可能なのか? どこまでできるのかも判りません。 この未知の世界への挑戦の意味もあり、中学生の頃からの夢であったハイパワー局(当時は500Wまででしたが、現在は1kWまで許可されます)の開局に向けて年初から準備を進めることにしました。

まずは1kW出すためには電波の質を上げることが重要です。今後スプリアス規格も厳しくなることもあり、リグの全取り換えを行うことにしました。今までお世話になったIC-756PRO2、IC-706MK2、FT-857D、FT-2Dなどハンディ機の数々、さらに周辺機器、アンテナチューナー、不要な安定化電源などありとあらゆる手持ちのリグ、設備を売却。 驚いたことに結構な値段が付きました。 特にすでに製造中止、ストックも底をついたような、CWのフィルターを取り外して個別に売ったり、古いリグの取り付けの基台や金具、接続ケーブルなどは買った時の値段以上になってくれました。 これを軍資金として購入したのがIC-7610とIC-9700です。今年の1月にはリグは準備できました。

さて肝心のリニアアンプですが、これは2年前にマン島でDXペディションを行った際にMD0CCE Bobが使っていた、イタリアSPE社のリニアアンプがとても小さく、さらに静かなことで一目惚れ、とても気になっていました。いまから買うならSPE社のオールソリッドステートのあのリニアアンプと決めていました。

最大1kWまでしか免許許可の下りない日本で使うので、購入はSPEのExpert 1.3K-FAというモデルにしました。これだとAC100Vで運用するとちょうど1kW出力となります。 発注したのが1月。当初は4月には納入されるということでしたが、4月になっても5月になっても、6月になってもまだ来ません。 時期が来るたびに確認しましたが、1か月後、2か月後には必ず・・・と蕎麦屋出前状態。 いい加減しびれが切れはじめて、8月に何度目かの確認をしてみたところ、新型コロナウィルス蔓延の影響でメーカー側で半導体が入手できない状態となり、納期はいつになるか目途すら立たない状態になってしまいました。 しかし1.5K-FAなら在庫があるとのことで少し価格は高くなりましたが、1.5K-FAでお願いしました。 これだとAC100Vでの運用でも1kWを越えてしまいますので、このままではパワーが出すぎて落成検査に合格することはできませんので、日本仕様に1kW縛りに改造してもらう必要があります。 実際、1.5kWも出した時の電波障害も心配ですが、何よりそんなパワーを突っ込めるアンテナがありません。 どうせ1kW縛りにするのに高い金を出して1.5kWのものを買うのはもったいない気もしますが、実際に運用する500Wや1kWを出す場合は1.3K-FAよりもリニアリティの良い点で運用できるため、当然電波の質も上がりますので電波障害の点でも有利になります。

ということでリニアの入手は時間が掛かってしまいましたが、ようやく無事8月下旬に到着しました。EUの新スプリアス規格も満足するSPE Expert 1.5K-FA Ver2(JA版)と呼ばれるモデルです。

だいぶ計画が遅れてしまいましたが、1kW 化計画の再始動です。

この先どんな困難が待ち構えているのか・・・・ うまくいっても免許取得は半年くらい先になると思います。 試行錯誤の様子や紆余曲折もあると思いますが、苦労も楽しみながら、しっかりと挑戦していきたいと思います。

1kWへの道-2につづく

 


JA1CTV
1kWへの道

7件のコメント

  • JN1VFF

    当局も、将来的には、DPでのQROを考えてます。続編記事を楽しみにしてます。

  • JH0CJH

    こばさん、
    そうですか、ご参考になる話がだいぶあると思います。喜んでノウハウのシェアでご協力させていただきます。

  • 松野 貴

    いいですねー。
    お手伝いできる事があれば、連絡くださいね。BQT

    • JH0CJH

      松野さん、
      ありがとうございます。現在は近隣住民の方への電波障害調査も完了し、今月末に予定している落成検査だけとなりました。

  • JH1HVF (koizumi)

    1ケイダブリュ(笑)への道、楽しく拝見いたしました。
    昨年の11月に35年振りに再開局しました。
    お隣、平塚(伊勢原より)の小泉です。
    エネルギーが凄いですね。一気に読破させていただきました。
    1KW、凝縮すると、アンテナ問題と、インターフェアーでしょうか、総通対応も、大変でしょうね。
    昔、1.9MHzで1KWの免許を頂き、固定2エレとかで、5大陸CFMしましたが、35年のタイムラグは大きいです。
    マニュアル読みながらの On the air です。
    ご活躍、楽しみにしております。

    • JA1CTV

      HVFさん
      コメントありがとうございます。防護指針のクリアが一番の鍵のようです。これがダメだとインターフェアがOKでも免許が出ませんので。

      • JH1HVF

        今年の春に、200Wの変更申請(追加)をしましたら、防護指針関東でもやるとのことで、1週間、頭ボリボリしながら、計算帳票を作成しました。
        一度、間違いを指摘され、再提出、200W変更検査半年かかりました。
        もう、KW申請は、インターフェアー絡みで総通クリアーできないなと、諦めております。汗
        では、また。

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