Summits on the Air


みなさん、Summits on the Air (SOTA) というものをご存知でしょうか?

sota logo

Summits on the Air (SOTA)はアマチュア無線のアワードプログラムで、全世界の山にID番号を振りあてて、自らその山頂でのアマチュア無線の運用を行う、またその山岳移動局との交信を行うもので、今は世界的に広がっているIslands on the Air (IOTA)の山岳版といったところです。

http://www.sota.org.uk/

2002年にイギリスに本部を置いて設立され、欧州、北米を中心に各国に支部をおいていますが、残念ながら日本にはまだ支部がありません。 このため、日本にもSOTAの支部を作ろうという海外のSOTAメンバーがおられ、このメンバーと打ち合わせを持つため、昨日恵比寿のビアステーションにて、「山と無線」で有名なJI1TLL須崎さんとともに情報交換の場を持ちました。

SOTA JP

ご存知の通り日本には、山が多くあり、アマチュア無線家も多くいます。 このためアマチュア無線の山岳移動を支える、「山と無線」、「山岳移動ランキング(山ラン)」など、山岳移動局の情報交換の場や、表彰・奨励活動を行っている歴史ある組織があり、現在でも活発に活動しています。 SOTAにとっては「こんなに活発な国なのに、なぜ日本でもSOTAプログラムをやらないの?」というところだと思います。

私は最初にこの話を聞いた時は、まず山ランで行っている活動とのダブりから来る混乱を心配しました。 このため、もしSOTAを日本でもやっていく場合は、混乱を避けたり、山ランのメンバーの方のモチベーションに影響を与えないように、ルールをできる限り共通化したほうが良いのではないかと思いました。 しかし、山と無線のメンバーの方や、山ランのメンバーの方からいろいろと教えていただいたところ、基本的に山ランの活動は一般に言われるアマチュア無線の「アワード」とは別のものであり、その目的は「山岳移動を通じた体力と精神力の鍛錬」にあることを教えていただき、ルールの共通化は難しいことが判りました。 つまり、全く別のものであることで逆にSOTAのルールをそのまま日本に持ち込むことが可能ではないかと思われます。

しかし、このSOTAのアワードがどれだけ日本に受け入れられ、広く浸透するかは少々疑問も残ります。 基本的には英語でのアワード申請が必要ですし、同様のアワードであるIOTAもそれほど日本で活発ではないように思います。 さらに、山での移動は基本がQRP運用、日本での山岳移動はHFよりもV/UHFでの運用が主体であり、海外DXとのQSOは非常に少ない状況です。 しかし、実は私がこの話を聞いた時に、とても魅力に感じたことが一つあります。 それは、この「山のID番号」です。

私はCWでの運用が好きですが、山岳移動をやっていて思うのは、山の名前を送信することの大変さです。 大山(ooyama)くらいなら、CQ de JH0CJH/1 JCC 1115 mt ooyama pse k くらいで済みますが、先週登った、畦ヶ丸(azegamaru)とか、檜洞丸(hinokiboramaru)、加入道山(kanyuudouyama)などの山の名前をCWで送信するのは考えただけでも大変です。 受信するほうも、これだけの長さの固有名詞を一発で取るのは大変でしょう。 このため、私は山岳移動ではSSBでも積極的に出るようにしています・・・・笑。 この山の名前が、市郡区町村のJCCやJCG番号、また道の駅や湖沼アワード、温泉アワードのようにID番号で送出できたらどんなに楽だろうと思います。 この点にとても惹かれています。 「山岳移動でのCW好き」の人ならば判っていただけるかと思います。 それではそういう人が一体どれくらいいるのかは、こちらも甚だ疑問ではありますが・・・・

SOTAのルールについては詳細な取り決めがあり、General Ruleと呼ばれる、基本的なルールがイギリス本部で取り決められており、さらに支部ごとにローカルルールが決められることとなっています。

アワードは山岳移動運用者(Activator)、その相手局(Chaser)、SWLの3者の立場で構成され、自然保護、他人に迷惑をかけない運用を基本に、自力での登山が必要で、車両・商用電源・化石燃料を使った発電機などを使わない運用が規定されています。 山岳移動局の得点も運用する山の高度で得点が違い、季節によっても差があり厳寒期は高くなっています。 このあたりの取り決めは、また後日紹介したいと思います。

最近、日本でも海外の相互運用協定が結ばれている国が増えており、これら相互運用協定が結ばれている国の方にも簡単に日本のライセンス、コールサインが発給されています。 この中には結構、山岳無線運用が好きな方がおられるようです。 これは大半が旅行者であったり、一時的な滞在者である、この方たちが日本で運用する時に広大な土地にタワーを建て巨大アンテナを上げて運用できるとは考えにくく、結果として山からの運用という形になることも良く理解できます。 このため、何とかSOTAの日本導入に協力していこうと思っています。

このSOTAに興味をお持ちの方がおられましたら、連絡をいただけましたら、次の打ち合わせや、今後の活動について連絡いたします。 電子メールは、私の jh0cjh599(アットマーク)gmail.comでOKです。

 


JA1CTV
その他の無線関連

9件のコメント

  • 生地 克成

    山のID番号いいですね。私もCWでは山の名前を伝えるのが難しいので山頂からの運用ではSSBばかりでした。CWが使えればDXも楽になりますね。

  • JH0CJH

    生地さん
    さっそくのコメントありがとうございます。 私と全く同じことを感じている人がいらっしゃいましたね。 そうなんですよね。 山のIDがあれば本当に楽になるんですが。 このデータベースはSOTAの活動の中で作って行くことになります。すでに地形データを入力しSOTAの規定に合う「山頂」のデータを収集するソフトがあるようですので。 SOTAで規定する山頂の定義は単なる山岳リストとは違っており、必ずしも名前がある山を定義しているものではないところもあるので、データベースの作成にはこのソフトが必要なようです。

  • ja1sky

    SOTAですか
    簡単に出来ますね
    ただ、島に比べて数は多いでしょうか

  • JI1TLL

    昨日はお疲れさまでした。
    まず「山ラン」に関して基本的に誤解があります。
    > アマチュア無線の「アワード」とは別のもの
    ある人にとっては「(かなり進化した)アワード」そのものです。
    そのため私はメンバーではありません。
    しかし「アワード」ではない、つまりアワードと同じにされては堪らない…と考えている人もいます。山ランはそれを許容します。
    たとえば、湖沼アワードに参加している人に「その湖に対する拘り」を聞くと、湖沼番号以上の知識がない方がほとんどです。芦ノ湖の水が神奈川のものでない理由を知らなかったりします。
    「山ラン」には、そのような恥ずかしい参加者はいないでしょう。
    山名を番号表示できるとCWに便利というのは、温泉や湖沼と同じだと思います。それにSOTAを借用するのは手ですが、規定モレの山頂をフォローする必要があるかもしれません。
    ちなみにIOTAも、瀬戸内海の島々に適用できるようにすると普及するかも。

  • JH0CJH

    SKYさん
    SOTAの件、まずはデータの収集ですね。
    これが最大の難関です。最初から膨大なデータを狙ってやると、大変なのでスモールスタートでやりたいところですが・・・

  • JH0CJH

    TLLさん
    金曜日はありがとうございました。地形のランドスケープにも山、河、海、湖などありますが、特に山にはこだわりを持つ人が多いのでしょうね。 今度の山フェスの時にでもまたいろいろ教えてください。
    よろしくお願いします。

  • JI1TLL

    こんばんわ。
    お会いして感じたのですが、今回のメンバーは無線の方も山の方も、いわゆる「パワーユーザー」ではないみたいですね。
    初めて1~2年ほど、面白いので日本にも普及(布教)してみるか…
    くらいのノリかと思います。
    HFメインなのにCWやらない、というのは山頂で6mCWに出る者から見ると不思議です。雪山にも行かないようですし。
    今回ジョインできなかったもう一人の正体が不明ですが、正直「本国から宣教師がやってくるのか?」と思っていました。
    山フェスで話題にしましょう。

  • Atsu

    昨夜7メガで交信したK1JD Johnと山の話になり、JA SOTA を是非やってほしいと言ってました。彼のQRZ.COMも見てほしいと。基本的にUK本部関係者と話をしないといけないと思うがWのSOTA愛好者としてサポート出来ることあればやるよとのことでしたのでQSPしておきます。

  • JH0CJH

    Atsuさん
    情報ありがとうございます。心強いですね。
    SOTAはいま有志だけで活動を開始しました。UKの本部とも連絡を取っております。
    一番のハードルはデータベースの作成です。 もう少し時間が必要です。
    私からもJohn氏に連絡しておきます。 TNX

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です