100年前の12月


12月になりました。

2021年いろんなことがありましたが、自分の感覚としては毎年12月に入った途端、24時間後くらいで大晦日になるような感じで時間が過ぎてしまいますので、この年の最後の月の日々を大切にしたいと思っています。

さて、タイトルにある100年前の12月、つまり1921年の12月ですが、無線の世界で大きな発見があった時です。

マルコニーが無線電信で大西洋横断通信をしたのは1901年ですが、この時は単に電磁波による遠距離通信の可能性を見出しただけです。その後、アマチュア無線には短波帯が割り当てられていましたが、当時は伝搬損失の大きな短波帯は近距離通信にしか利用できない、いわば「見捨てられた周波数」でした。 しかし、1921年にアメリカとイギリスのアマチュア無線家が、この短波を使って大西洋横断通信の可能性を見出したことで、その後、短波帯への注目度が格段に上がっていくこととなりました。

当時のイギリスは送信出力の制限で双方向の通信にはなりませんでしたが、アメリカから発信した電波がイギリスで受信できたことで、短波帯で電磁波を反射する地球を取り巻く電離層の存在が明らかになり、電球を灯すほどの電力で地球の裏側と通信ができるという素晴らしい発見がありました。

無線の周波数は天然資源と同じようなものです。通常の無線局(放送局や業務通信局)には周波数をスポットでしか割り当てられません。周波数帯として「ある範囲で自由に出ていいよ」などという、とても寛大な措置は通常はあり得ません。 それを今でもアマチュア無線家にこれだけの周波数帯が割り当てられているのは、この歴史的発見による偉業が背景になっています。

現在の短波通信、短波ラジオ放送による世界中をつなぐこのメディアはとても貴重な資源です。 そんな素晴らしい無線の世界を楽しめるのは、先達の失敗にめげず、いろんなことを試し、探求する意思のおかげなのです。

この素晴らしい短波通信の世界を実現した先達の偉業と歴史に感謝し、無線の世界を楽しみましょう。

 


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