海外への無線設備の持ち込みについて

私は無線機などの無線設備をスーツケースに入れて、海外の渡航先に持ち込む場合や、飛行機でチェックインバゲッジとして運送する場合に、次のようなことに注意し、不要な疑いをかけられないようにしています。 もちろん「不正なもの*」を持ち込むわけではありませんし、(*:国によっては「香港」のように、無線機器を「持ち込むこと」、「持ち出すこと」自体に許可が必要な国もあります。)、悪意があるわけではありませんので、嫌疑がかけられても、きちんと説明できれば問題はないのですが、スムーズに通関、航空会社でのチェックインをできるに越したことはありません。 ここに記述したことは、決して規制されているものを不正に持ち込むことを推奨したり、手引きをするものではありません。 必ず各国の法律には従ってください。

1.荷物の最小化

スムーズな通関には、まず第一に荷物を最小化することです。 余計なものを持っていくと荷物も多くなり、それだけで通関時には目を付けられます。 またダンボール箱などに入れていくと、ダンボール箱というだけで必ず通関時に足止めされる国もあります。 荷物の最小化は基本です。 私の場合、総重量はQRPで運用する場合は約3.9kg、QROで運用する場合でも6.9kgです。

QRP装置

QRPset

QRO装置

QROset

2.X線装置での見え方

セキュリティの叫ばれる今日、飛行機に乗る時に空港でのX線装置での検査は100%の国で実施されています。 これは空港ビルに入る時、パスポートコントロールを抜けた時、搭乗ゲートに入る時など、何度もあります。 またパキスタンのように到着時にX線装置を通す国もあります。 この時にスーツケースの中の無線機などが、特に問題なく通過するようにしたいものです。 何度もいいますが、禁止されているものを密輸するわけではありませんが、可能な限り、これらの装置が問題なく見える、また通関時に役人の興味の対象とならないようにすることが鍵になるわけです。

皆さん、上の写真を見て何が一番通関時に検査官の興味を引くと思いますでしょうか? 我々無線家にはおそらくリグが一番興味を引くのだろうと思ってしまいます。 次は電源やATUなどでしょうか? しかし、私のいままでの経験ではどうも違うようです。

あくまで私の予想ではありますが、おそらくX線装置を通した時に一番怪しいと思われる対象は、この「とぐろを巻いたワイヤー、ケーブル」です。 そして次は電鍵です。

ワイヤー類については、やはり一般的な旅行者が持っているようなものではないことが原因でしょう。 時には、X線装置の担当から、スーツケースを開けなくとも、「ワイヤーを持っているのか?」と聞かれるだけのこともあります。 電線そのものは何も怪しくはないのですが、やはりこの量が引っかかるのでしょう。

それでは、次に引っかかる確度の高い電鍵はなぜ怪しく見えるのでしょうか? 電鍵はたいていの場合、重量を確保するために金属の塊でできています。 中空の金属ケースではありません。 このためX線が通らないため、非常に怪しく見えるようなのです。 さらに、私のG4ZPYのパドルは金メッキのものですが、電鍵は出来れば金色ではない方がよいと思います。 これはX線検査でひっかかって中をあけたときに、ぱっと見、黄金のインゴッドに見えるようですので・・・・ 私が、そんなもの持ってるわけ無いのですが・・・・

これらの点から、ワイヤー類は無線機とは別にしておくとか、電鍵は安っぽいものが良いでしょう。

3.スーツケースを開けた時の見え方

スーツケースを開けた時に、一番怪しくないのは逆にワイヤー類になります。 X線装置を通して、怪しいワイヤー類や電鍵の実物を見せて説明して、それだけで通過OKという場合もありますが、先日のパキスタンのように、このスーツケースの開封時に、いろいろと目に入る他のものに、いちゃもんをつけてくる場合があります。 実物を見て一番怪しいのはどれでしょうか?

この場合は、どうもATUのようです。 いつもケースを開けた場合にいろいろ聞いてくるのはATUについてです。 碍子がついた変な箱はいかにも怪しく見えるのでしょう。 一方で、無線機本体はほとんど興味を持たれません。 その理由は次の項で。

これらの点から、ATUには手書きで、Radio AntennaとかAntenna Boxなどと、あまり複雑な機械ではないことがイメージされる表現で名前を書いておくと良いかも知れません。 Auto Antenna Tunnerとか、Antenna Impedance Matching Couplerなどという名前だと、なんとなく高級に、複雑に(=通関役人の興味の対象に)聞こえてしまいます。

4.無線機の見せ方

私がQRO運用で持っていくリグはFT-857 です。 この理由はフロントパネルが分割できるためです。 私がリグ購入にあたって、FT-857とFT-897のどちらにするかで悩んだ挙句、最後にFT-857を選んだ理由は、このフロントパネルのセパレーションが出来るところにあります。

FT857

フロントパネルを分割できることで、次のように大きな2つのメリットが享受できます。 それは、まず通関時に仮にスーツケースを開けられても、フロントパネルは別にしておきますので、ラジオ本体は何の面白みもない単なる黒い箱です。 これだけで相当、通関役人の興味の対象から外れます。 事実、無線機で引っかかったことは一度もありません。

2つ目のメリットは輸送時の破損事故防止です。 重い本体と一緒の場合、特にリグのフロント部分の梱包をよほどしっかりしておかないと、無線機のつまみ、ダイヤルに直接無線機全体の重量(G)がかかります。 分割しておけばつまみ、ダイヤルにかかる重量はフロントパネル分だけですので、余程のことが無い限り破損することはありません。

5.機内持ち込みについて

持参する設備の中でも、一番の精密機器である無線機を、機内持ち込みにするか、預け入れ荷物にするかですが、私はたいていの場合は預け入れ荷物にしています。 理由は機内持ち込みにした場合、X線検査装置を何度もクリアする必要があるのでハードルの数が増えるためです。 しかし、これはケースバイケースだと思います。 ある程度の重量があるものや、大きなものは逆に機内持ち込みのほうが安全と思います。 フロントパネルが分割できるなら、フロントパネルだけ手荷物として持っていく手もあると思います。

6.その他のTip

下記は、一般的観測からの見解と理解してください。 人種的偏見などではありません。

私の経験によると、だいたい各国の通関でスーツケースを開けられているのは某国の方が多いように思います。 某国の方は、まず荷物が非常に多い、そしてダンボールで大量にものを持ってくる方が多いです。 しかも、禁止されている肉、魚、植物など生鮮食料品を持ってくる場合も多い。 通関で止められても仕方ないでしょう。 このため私は通関のグリーンラインを通過する時は必ずパスポートを手に持って日本のパスポートであることを見せながら出るようにしています。 どれくらい効果があるかはわかりませんが、経験上、通関で一旦止められても日本人のパスポートを見せると、パスポートの表紙を一瞥しただけで通してもらう経験が何度もあります。

 

「海外への無線設備の持ち込みについて」への15件のフィードバック

  1. 川さん
    経験のシェアありがとうございます。実は、、、、私も一番引っかかるのはワイヤーです。それもUSの保安検査で引っかかっりました。全てのケースで”これは普通の電線です”と説明したら通してくれるのですが、X線越しに見た目が悪いみたいですね。

  2. ポリさん
    そうですか、やはり・・・ 同じだね。
    来週W4、W5に行きます。 久しぶりのWです。

  3. 面白く拝読させて貰いました
    ワイヤー、確かに一般人は持ち歩かない
    パドル、金メッキだからインゴットに見えるんだ
    関係ないけど、私の同じパドルは銀色です

    八重山に行った時、FT-897は付属ATUと共に機内持ち込み
    重くて空港内の移動が大変だった

  4. SKYさん
    金の延べ棒は危険物ではありませんが、あれはあれで持ち込みや持ち出しが制限されていますからね。 あれは盲点でした。
    ただそれに代わるコンパクトで良いパドルがないんだなぁ。
    今年のHamFairで買おうかな・・・・

  5. どんな設備から電波が飛んできているのか気になっていたのですが、QROはロングワイヤーですか。あとその他のワイヤーはダイポールでしょうかね。
    出張でのついでの移動のようなので、八木は使っていないだろと思いましたがビックリです。

    そう言えば、私のG4ZPYも金色ですね。

  6. NNLさん
    ワイヤーはLWのエレメントとあとはGNDのワイヤーです。
    ダイポールはちょっと張るのが難しいのでいつもLWです。
    こんな設備でも地球の裏側まで飛ぶと思うとすごいことですよね。

  7. SKYさん
    G4ZPYのGordonとはすでに連絡は取れなくなって久しいです。
    いまはWebサイトも復活していますが、一時Webサイトも消失していました。
    どうしているのかは判りません。

  8. 懐かしく読ませて頂きました。
    現在アルジェリアのモロッコ側の海岸沿いで化学工場の計装SVとして五月連休位まで仕事で来ています。あの事件で外出禁止でCAMPと工場の行き来だけで刑務所のような生活です。インターネットも不安定で、海外でアマチュア無線が出来ないかと検索しましたが、ブログをよみましたが、ダメのようですね。

  9. 吉田さん、
    トレムセンのあたりでしょうか?
    結構危ない地域ですね。 気をつけてください。
    アルジェリアでは長期滞在者でないと外国人に対してのライセンス発行は難しいようです。
    アルジェ市内に無線クラブがあり、そこで運用させてもらえるようです。
    港の近くだったと思います。ただいまの時期はやめておいたほうがいいかもしれませんね。
    くれぐれもお気をつけて。

  10. こんにちは。私もFT857を使っていますが、一度ボリュームつまみを曲げて
    しまったことがあります。分離して運搬は思いもいたりませんでした。参考に
    なりました。ATUはLDG社製が防水ではありませんが、怪しくなくコンパクト
    でFBです。電源はRETECH社のが小さくていいですね。ケーブルは丸めるより、
    長めの板に巻きつけ、釣竿と一緒に入れています。丸めるよりも印象がいい
    ようです。ご参考まで。

  11. BViさん、
    いつもありがとうございます。
    コメントバックが遅れて申し訳ありません。なぜか自動フィルターに滞留していたようです。
    私も817用のLDG社のチューナー持ってます。あれは小さくて良いですよね。私のは817用で857では使え無いんですが。貴重なご意見ありがとうございます。

  12. たいへんご無沙汰しています。JE1MWM@W2(AC2NR)です。この記事の時分から仕事の関係でNY近郊に在住です。ポリさんとはメールでやり取りしただけですが、東と西でまだお会い出来ていません。家にアンテナもないので、まったくオンエアする機会もないのですが、移動や海外ライセンスの件など楽しく拝見しました。しばらくこちらにいますので、出張等でお会い出来るのを楽しみにしています。

  13. Leeさん、
    お久しぶりです。Wに行かれていたとは知りませんでした。最近は山移動ばかりです。WもSOTA山いっぱいあるので、移動運用してみてください。Wに行く時があれば連絡します。

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