1kWへの道-5


1.8MHzのアンテナも準備でき、設備面ではリグ、リニアアンプ、アンテナ、ダミーロードの準備ができましたが、このままでは電波障害が心配です。自宅だけではなく近隣のお宅に電波障害を起こすことは絶対に避けなくてはいけません。

とにかく一度でも近隣の方々とトラブルを起こしたら、この1kW化の計画はすべて台無しになると思い、自分で(送信側で)できることはすべてを完全にやることにしました。

まず、フィルター類の準備です。

アンテナが2系統ありますので、リニアアンプの出力側のフィルター類も2つづつ準備しました。

まずはLow Pass Filterです。いろいろと調べましたがコメットの製品が結構良いような記事をネット上で見つけて、これに決めました。 一つはCF-30MRもう一つは50MHzのアンテナにもつなぐためCF-50MRです。これらの耐電力は500W CW, 1kW PEPです。 そしてコモンモードフィルターも入れます。 一つはRF Inquiry社のCF-5KV、もう一つはダイアモンドアンテナのCMF-2000、これら4台を木の板に取り付けました。

そしてIC-7610とリニアアンプの間にもRF Inquiry社のCF-250Eを入れました。

さらに同軸ケーブルはもちろん、電源系統、コントロール系統、パソコンの入出力ケーブル、すべてにTDKのフェライトコアを入れました。 手持ちのフェライトコアが20個ほどありましたが、さらに大中サイズ合わせ150個を発注しました。

ZCAT3035-1330を50個、ZCAT2235-1030Aを100個です。 これらの特性はこちらにも投稿してあります。

とにかく、このフェライトコアは徹底して入れました。 ここまでやるかなと思う気もありましたが、どこか一か所でも入れ忘れることで、この計画がすべて台無しになることを考えると、ここで手を抜くことはできません。 あとから後悔することだけはしたくありませんでした。アンテナのバラン下にもいくつか入れました。障害が出ないということを確認したあと、さらに追加して入れることにしました。

全体のブロック図は下記のようになりました。

電波障害対策によくある話で、ある場所にフェライトコアを入れても障害が消えずに関係なかったので、そこにフェライトコアを入れることをやめて、別の場所に入れてみるという考えがあると思いますが、これは本末転倒です。 コモンモードの障害は論理回路のORのようなものです。 どこか1か所でも抜けているとそこから障害が発生します。 ですから、ある場所にフェライトコアを入れてもまだ障害が出ているのであれば、そこはそのままにして、他の場所にもコモンモード対策をするべきなのです。 このため、使うフェライトコアがもったいないなどという考えを捨てるべきです。 まず最初に何十個もフェライトコアを買ってしまえば、もったいないなどという気にはなりません。

今回フェライトコアで対策を十分取ったあと自宅TVへの障害はありませんでしたが、無線機と接続しているパソコンにはいくつか障害が発生しました。

1つは14MHzでPCのディスプレイに細かな縞が出ること、1つは3.5/3.8MHzで送信するとPCとリニアアンプを接続するUSB接続さらにリグとPCとのUSB接続が切れて(ハングアップ)しまうこと、そしてもう一つは21MHzでパソコンのキーボードが動作しなくなることでした。 14MHzの画面の縞と21MHzのキーボードはPCまわりの接続ケーブルにフェライトコアを入れることで完全に障害が消えました。特に21MHzのキーボード障害ではキーボードのUSBケーブルにフェライトコアを入れるだけではなく全く別の周辺機器に繋がっているUSBケーブルにコアを入れることで解消しています。このあたりが論理ORで障害が発生しているところであり、フェライトコアをもったいないなどと思わずに思いつくところ全部に入れることが必要となります。

一番最後まで手こずったのは3.5MHzでのハングアップです。PCとリニアアンプのUSB接続は接続するUSBケーブルにフェライトコアを入れることで解消しましたが、PCとリグの間の接続が切れれることは解消できませんでした。PCとリグの間の接続が切れるというのはFT8などで送信した瞬間にPCとリグの接続が切れ、リグが無変調で送信状態になってしまうことになります。

いろいろと試した結果USBキーボードを外すとPCとリグの間での接続障害は発生しないことが判りました。 これもPCとリグの間のUSB接続の問題なのに直接関係のないUSBキーボードが原因になっている、論理ORの典型です。 このため21MHzで対策したフェライトコアの数を増やしてみたのですが解消できず。キーボードの裏にアルミ箔を張ったりしましたが全くだめ、おそらくキーボードそのものに3.5MHzが直接影響しているものと思います。確認のため手持ちの別のUSBキーボードに取り換えてみても全く同じ障害が発生しました。 このためUSBキーボードはあきらめ、小さなブルートゥースキーボードでPCに接続すると全く問題ないことが判明。 この時代にUSBケーブル接続のキーボードもなかろうと思い、新しくフルサイズのワイヤレスキーボードを購入しました。 LogicoolのK295というモデルです。

これで自宅のTVやラジオ、PCへの障害は完全になくなりました。これで一安心なのですが、ここまではあくまでも自宅の中の話です。 この先には「1kWへの道」で避けては通れぬ最大の難関である近所の方への電波障害有無の確認試験もやる必要があります。

1kWへの道-6につづく


JA1CTV
1kWへの道

2件のコメント

  • JQ3WBC

    こんにちは。
    JQ3WBCといいます。

    先日来、1.8MhzでのFT8送信(100W程度)でPCが止まって困っていました。
    スローパーの位置を変えたり、フェライトコアを入れたりしていましたが改善しませんでした。
    検索でこのブログにたどり着き、もしやと思いキーボードのUSBケーブルを外して送信してみるとFT8(500Wあたりまで)もCW(800Wあたりまで)も大丈夫でした。
    早速、貴局と同じキーボードを発注しました。
    到着するまでは、キーボードケーブルを外して運用します。
    解決してほっとしています。
    ありがとうございました。

    • JA1CTV

      JQ3WBCさん
      お役に立てて光栄です。
      USBケーブルのKBとかマウスは結構、基本波での影響があるようです。
      とりあえずインターフェアが止まってよかったですね。

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