香港での海外運用


今後、香港で運用する方のために、今回のVR2/JH0CJHの免許取得方法をまとめておきます。 以下のプロセスや費用、規則は2012年7月現在のものですので、変更されている可能性が十分ありますのでご注意下さい。

だいぶ複雑なように見えますが、最大の難関は入国前までに完了させる輸出入許可の取得とその費用支払いです。 私は知人のサポートを得て行いました。 香港は無線機器の輸出入に厳しい規定があるので注意が必要です。

香港でアマチュア無線のライセンスを発給している機関はOFCA(Office of the Communications Authority)となります。 OFCAにはアマチュア無線の担当課があるようです。 この担当者を窓口にいろいろとプロセスを確認していきました。

香港は日本と同じように、アマチュア無線従事者の従事者免許とアマチュア局の局免許の2つがあります。 日本との間に相互運用協定はありませんが、香港局のゲストオペレータ以外でも、必要な手順を踏めば日本のライセンスでVR2/日本のコールサインでの運用が可能です。まずは免許体系のガイドラインです。

http://www.coms-auth.hk/filemanager/statement/en/upload/51/gn022012e.pdf

リンク切れの場合は2012年7月時点のものとなりますが、これです。

gn022012e

 

その他の情報

http://www.ofca.gov.hk/filemanager/ofca/common/consumer/other/rae_annex_c_e.pdf

リンク切れの場合は2012年7月時点のものとなりますが、これです。

rae_annex_c_e

 

これらをまとめると、まず、基本として4つの関連する手続きが必要であることがわかりました。

1. 従事者免許ですが、これはATO (Authority to Operate)と呼ばれています。 これだけでは、日本の従免と同じなのでどこかのクラブ局などでゲストオペレータとして運用をさせていただくことになります。 このATOだけでは、どこまで許可がされるのか(正式にクラブのメンバーである必要があるのかなど)、詳細な制限は、私には良く判っておりません。 ATOは5年間有効で、取得の費用は160HK$です。

 

2. 次はASL (Amateur Station License)と呼ばれるもので日本の局免に相当するものです。  私はゲストオペレータでの運用には興味が無く、やはり自分だけのコールサインでQRVしたかったためASLも取得しました。 これは1年間有効で、取得費用は150HK$です。 ASLを取得する場合は、自分のリグを香港に持ち込むことが前提になりますので、ASLの取得と同時に、下の3項に示すような無線通信機器の輸出入手続きが必要になってきます。

これがATOとASLの申請書となります。

http://www.coms-auth.hk/filemanager/common/licensing/A201.pdf

リンク切れの場合は2012年7月時点のものとなりますが、これです。

A201

ATOとASLはひとつの書類で済みます。 書類の番号はOFCA A201です。 必要事項を書き込んでいきますが、申請書の2ページ目の先頭にType of Applicationがあり、ここでATO、ASLを選択します。 私の場合は自分の機器を持ち込みなので両方にチェックします。 ASLだけではない ことに注意して下さい。 ATOにもチェックが必要です。

申請書の2ページ目の一番下に希望するコールサインの記入欄がありますが、VR2***のコールサインがアサインされるのは、香港の住基番号にあたる、HKIDカードを持っている香港在住者だけで、私のように海外局の一時使用の場合は、d項にあるようにVR2/ホームコールがアサインされます。

ATOとASLの申請には同時に、

  • パスポートのコピー(写真のあるページ)
  • 無線従事者免許証のコピーと英訳
  • 無線局免許状のコピーと英訳

が必要です。

 

3. ASLを取得し、自分の無線機器を使用する場合は、無線機器の香港への輸入許可(Import Permit)、そして香港から持ち出す場合の輸出許可(Export Permit)も事前に取得する必要があります。 この輸出入許可が無い場合、税関で見つかると無線機材を没収されるとガイドラインにも書いてありますので十分に注意が必要です。 また輸入許可と輸出許可は、まったく別で、費用もそれぞれに150HK$の支払いが必要です。

Import Permitの申請書

http://www.coms-auth.hk/filemanager/common/licensing/A120.pdf

リンク切れの場合は2012年7月時点のものとなりますが、これです。

A120

 

Export Permitの申請書

http://www.coms-auth.hk/filemanager/common/licensing/A121.pdf

リンク切れの場合は2012年7月時点のものとなりますが、これです。

A121

輸出入許可証の申請書の書き方ですが、これはもともとのPDFファイルに直接入力できるようなフォーマットになっています。 注意すべき点は、個人輸入の場合、 Business Registration Certificate Noのところにパスポート番号を記入することです。 それから見落としがちなのは4項のDeclarationでチェックマークを入れることです。

 

4. さらに自分の無線機器を使用する場合は、その無線機器と上記2のASLを関連付ける書類、Amateur Station Equipment Scheduleが必要です。 これは日本の無線局事項書にあたるもののようです。

この申請書はこれです。

http://www.coms-auth.hk/filemanager/common/licensing/S204.pdf

リンク切れの場合は2012年7月時点のものとなりますが、これです。

S204

 

それぞれの必要書類に必要事項を記入しOFCAに提出します。 本来ATOとASL、それから輸出入許可証はOFCAの中でも窓口が異なっているようですが、私の場合は、何度もメールのやり取りで、プロセスを確認していたので、一人の担当者と相当親しくなっており、今回は特別にATO、ASLを担当する方を窓口にIL,ELも含めて全部の処理をお願いしました。

 

これらを一式そろえて入国前に、費用も支払う必要があります。 合計610HK$也。 これはOFCAに持参する必要があります。 代理人を立てる場合は、その代理の方の名前と香港での住基番号にあたるHKID番号を記入し、その人に代理を勤めてもらうAuthorization Letterを作成し、事前に提出しておく必要があります。

以上の手続きを完了すると、

まず持ち込み時、持ち出し時に必要な輸出入許可証は、申請後すぐにスタンプを押されて返却されますので、それを輸出入時に使用します。

そして肝心のライセンスですが、ATOとASLは申請後、9 working days後にライセンスが発給されます。 この9稼働日という期間は、交渉次第で少し短くすることもできるでしょう。

これは局免許の本体(全部で7ページ)

これは局免許の電力指定です。 HFは20dBwとなっていますので、100W

従事者免許証の本体 (下は局免許の帳票、機器貼り付け用でしょうか?)

輸入許可証

輸出許可証

 


JA1CTV
旅・海外運用の道

5件のコメント

  • おちあいゆうすけ

    Kawaさま 最近香港に引越してきました。当地の正確なライセンス情報ありがとうございました。OFCAのウエブ情報だけでは、とてもここまでたどり着くのは大変です。お陰さまで輸入許可も取得でき日本からリグを持ち込めば開局できそうです。もっとも局免の管理体制は厳格そうで、モービルもレンタカーは不可とのこと。うかつに電波を発射すれば電管が飛んできそうなので、しばらくはワッチに専念しようと思います。73 de VS2USJ

  • 落合邦夫

    JH0CJHさん、落合/JO1AECといいます。
    HPを大変興味深く読ませていただきました。

    私も香港で運用したいと思っており、OFCAに申請したものの
    無線機の設置場所がきまらず、困っています。
    誠に失礼とは思うのですが香港で無線機が設置できる
    ホテルをご存じありませんでしょうか。(ベランダがあれば
    良いと思うのですが、釣竿アンテナを検討しています)
    大変勝手な質問ですが情報ありましたら教えてください。

    de jo1aec

  • JH0CJH

    おちあいゆうすけさん
    コメントありがとうございました。出張の移動中で返事が遅れました。お役に立てたようで光栄です。
    モービルのレンタカーが駄目というのは始めて聞きました、貴重な情報ありがとうございました。 是非QRVをお願いします。

  • JH0CJH

    落合邦夫さん
    コメントありがとうございました。 本日YBに到着で返事が遅れました。 無線機の設置場所は確かに決めないといけませんね。 実は私がVR2の免許を取得しながら運用できなかったのはホテルの環境が原因です。 残念ながら運用に都合のよいホテルはわかりません。 このあたりはツアー情報でベランダのあるホテルで探した方が良いかもしれません。 お力になれずに申し訳ありません。

  • 落合邦夫

    JH0CJHさんご返事ありがとうございます。
    ホテル(無線局設置場所)で苦労するのはある意味楽しい面もあるのですが
    OFCAからの本日(2015/7/3)のメールでは、HKに3か月以上滞在する証明書とHARECがないと認めないとのこと。(3か月未満については記載がないがCEPT T/R6101を批准していないので無理な感じですね。)
    日本の1アマでHARECを発行して提出してください。ともありますがこれがOKでも3か月は無理ですね。

    もう少しやり取りしてみますが、HK免許を発行していただける可能性はたぶんないでしょうね。残念ですが。また詳細はコメントさせていただきます。
    以上

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