IC-705/KX2周波数調整


IC-705とKX2の周波数調整を行ってみました。

注意:周波数のキャリブレーションのためには周波数精度の高い信号発生器とスペアナが必要です。 設定を誤ると元に戻せなくなりますので、くれぐれもオリジナルの設定パラメータをPCとの連携で保存してから行うなど、自己責任で実施してください。 下記の説明には誤りがある可能性があります。

準備

まずスペアナにSGから高精度の10MHz基準周波数信号を入力し、スペアナの誤差がないようにします。 DSA 815のマニュアルだと外部10MHz基準周波数の入力レベルは0~+10dBmということですが、ちょっと怖いので-20dBmで入力してみましたが、これでも十分スペアナはSGの外部基準周波数にロックがかかりました。

スペアナでの測定条件は

  • RBW: 10Hz
  • VBW: 10Hz
  • Span: 1kHz

として、さらに測定精度を上げてみました。

この状態でまずIC-7610から7.003000MHzで送信した周波数をモニターしてみると、ドンピシャで 7.003000MHzでした。 IC-7610は精度の高い10MHz Ref Clockに同期させているので当然なのですが。

IC-705周波数キャリブレーション

IC-705の周波数を見てみます。

まずは30分ほどIC-705を暖気動作させた後、IC-705から7.003000MHzで送信して同じ条件でスペアナで見てみました。 すると7.002993MHzと少しだけ下にずれているようです。

この時のIC-705の基準周波数調整値は49.1%でした。 これを大体60.1%にすると、ちょうどIC-705の送信信号が7.003000MHzとなりました。

この状態で高い周波数帯での周波数精度も見てみました。 144MHz帯までは周波数偏移はありませんでしたが、430MHz帯では少しだけ周波数偏移がありました。 IC-705から430.003000MHzを送信し、測定すると430.002995MHz程度になっていました。 60.1%の設定を60.3%にすると、ちょうど下のように430.003000MHzになりました。

7MHz帯では、IC-705の基準周波数調整値を大きく変えても、送信周波数の変化は少ないですが、430MHz帯では逓倍数も上がるため、少し変更しただけで大きく変わります。 このため周波数調整をする場合は高い周波数でやってから下の周波数精度を確認したほうが良いかと思います。

この430MHz帯での調整後の状態で再度、7MHz帯に戻ってみてみましたが、ばっちり7.003000MHzに合っています。

 

KX2周波数キャリブレーション

次にKX2の周波数調整をやってみました。

まずKX2を30分ほど動作させた後、7.003000MHzを送信しスペアナでモニターしてみると 7.002956MHzで44Hz 程ずれていました。

まずやってみたのは、マニュアルに従って周波数調整をしてみました。 この結果わかったのですが、マニュアル通りに進めても実はうまくいきません。 マニュアルに抜けている手順があります。

下がマニュアルの該当ページですが

赤枠内に8桁のRef Calibrationパラメータを書き留めよということですが、実はその前にKX2の周波数表示を1Hz単位にしておかないといけません。これはAPFをOnにすることで行います。 そうしないと周波数の調整のステップが大きすぎて周波数を合わせることができません。

マニュアルの設定順もちょっと要領を得ないので少し修正しています。

ということで、上記のマニュアルの抜けに注意して、下記の手順に基づいて進めます。

  1. KX2でCWモードを選択
  2. Filterバンド幅を0.4kHzに設定
  3. APFをOnとして周波数表示および周波数ステップを1Hz 単位とする
  4. SGから7.003000MHz を ‐80 dBmくらいで入力します。 リグから受信音が聞こえていると思います。
  5. MenuモードからTech MDをONにします
  6. 同じくMenuモードでDual RXをOff
  7. 同じくMenuモードからCWTをOn
  8. 同じくMenuモードでRef Calを選定 ここで出てくるパラメータをメモしておきます。 最初の設定値、つまり7.002956MHzで44Hz 程ずれていたときのRef Calのパラメータは24.999.43でした。 7.003000MHzを受信しているCWT表示が左にずれています。
  9. この状態でFreqボタンを3秒以上長押しし、Ref CalパラメータをUn-Lockします。
  10. そしてKYR-SPTをクリック(一押し)すると自動で周波数が調整されます。 Ref Calのパラメータが24.999.29という数値になりました。 CWT表示がセンターに来ました。
  11. このMenuを抜けると自動でその数値がLockされて保存されます。
  12. ここまでで、十分周波数キャリブレーションはできているのですが、この状態でKX2の送信周波数をスペアナでモニターすると、こんな感じで7.002995MHzとなり5Hz 程まだ下に設定されていました。
  13. そのためRef Calのパラメータを少し手動で変更し、24.999.26 としたところ、KX2の送信周波数は7.003000MHzとなりました。

これで周波数キャリブレーションは完了です。

くれぐれも手順とバックアップにご注意を!


ご参考: オークションでIC-705を購入したが少し周波数がずれているとか、オークションに出品するために付加価値を上げたい方のために周波数キャリブレーションサービスを行うこと可能です。 往復の送料+3000円/台にて周波数キャリブレーションを行い、前と後の測定データを電子データで送ること可能です。 興味のある方は私の1エリアのコールサイン(@マーク)JARLドットCOMまでご連絡ください。 当然ですがリグに電源が入って正常起動することが条件となります。 KX2も同様サービスが可能です。

 


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