SOTAMATについて


SOTAアクティベータにとって、山頂からQRPの微弱な信号をどうやってチェイサーに探してもらうか、これがSOTAアクティベーションの成否に関わっているといっても言い過ぎではないと思います。 このため自分を見つけてもらうために、いろんな方法があります。 SOTAWatch3 と呼ばれるサイトでのスポットが一番有名なところと思います。 しかし、これは山頂で携帯の電波が届いており、スマートフォン等の情報端末が使えることが大前提になってしまいます。 ネットワークアクセスの無いところでは、SOTAWatch3のサイトにアクセスすることすらできないためです。 このため、比較的電波が弱くても低速のデータ通信で可能なSMSでスポットするSMS Gatewayがあります。 その他、全くネットワークは使わないAPRSでのGatewayなどを使うことも可能です。

この度、米国のAB6D Brianが新たなネットワーク環境がない場所でのスポット方法を考案してくれました。 これがSOTAMAT(ソタメイト)です。

動作原理

詳しくはこのYou Tubeを見ていただくと詳細に語られていますが、素晴らしいアイデアだと思うので、日本のSOTAアクティベータのために詳細を説明しておきます。 POTAにも対応しています。

使用する技術はFT8ですので、日本の場合、FT8の免許が移動する局として許可されていることが必要です。

山頂でアクティベータはFT8 の周波数で自分のコールサインのあとにサフィックスコードを付加して送信し、それを世界各国のPSK Reporterで拾ってもらい、それをもとにSOTA Watch3にアクティベーション情報をアップするという仕組みです。

このためにFT8 の設備が必要かというと、そんなことは無く、スマホ1台で可能で、スマホからの音声データをリグのマイクで拾って、SSB送信をするというものです。 ただFT8では送る文字数に制限があり。通常は自分のコールサインを含めて13文字しか送ることができません。 このため山岳IDや周波数、モードなどをそのまま送ることは不可能です。

このため、あらかじめ自分がよく出かける山域(SOTA Region、都道府県)、周波数、モード等の情報をSOTAMATサーバーに個別に登録しておいて、それぞれの情報の組み合わせを4文字にコード化して、FT8で送信するというものです。 この4文字での山岳ID、周波数、モードは100万通りの組合わせが可能で、そのコードと組み合わせは、個人ごとにSOTAMATのサーバーに置いておき、スマホであらかじめ、それをダウンロードしておきます。 そして、山頂からQRVする山岳ID、周波数スポットとモードの組み合わせを選ぶと、その組み合わせに相当する4文字のコードが出てきて、それを音声でFT8送信するという仕組みです。 また、この4文字コードも実際に存在するDXのエンティティ(例えば/KH2)であったり、「SOS」や「HELP」、「HATE」などの意味のある文字の場合は、それ自体が問題になるため含めていないようです。

また実際に送信する内容は、例えば S  JA1CTV/AK3L のようなものになるため、FT8で通常に運用している局にとっては何の意味もないものになり、これはFCC規則でも禁止されている暗号による秘匿通信と理解されてしまう可能性があるため、この変換アルゴリズムも一般に公開しているということです。

音声信号をFT8で送出する場合に、ALCが効かない範囲内(リグ終段アンプの完全なリニア領域)で送出する必要がありますが、これは日本製リグの場合はALCの針が振れない程度となりますが、Elecraft製のKX2では針が4つ振れる点がALCの効かない範囲内ということです。 ALCが振れるような音声レベルをリグに入れるとデジタル信号が大きくひずんで、受信側でデコードできなくなる、それを回避するためです。

実際に私も実験してみましたが、きちんとSOTAスポットがなされました。

登録と運用方法

まずはSOTAMATのサイトでアカウントを登録しますが、このUserNameは必ず自局コールサインとします。

登録がすんだらLoginしてPCから、自分のよく運用するRegionを設定します。

私は自分自身が、頻繁に山岳移動する先の、神奈川県、東京都、埼玉県、山梨県、静岡県をとりあえず登録しておきました。 将来変更したり、増やしたりすることができますので、当面はこれくらいでいいかと思います。

次にSOTA運用でよく出ている周波数とモードの登録です。

私はHFのCWだけを登録。 周波数ステップは500Hz、各バンドの中のステップ数はこんな感じでよいかと思います。

これで山岳IDと周波数、モードの組み合わせ登録が完了しました。

ここであまりにも多くのRegionや周波数、モードを登録しようとすると、組み合わせの数が上限である100万を超えてしまうので、注意が必要です。 この組み合わせの総数は、登録する画面の一番下に出る集計部分で出てきます。 100万通り以下であればグリーンで表示され、これが100万通りを超えると4文字コードの容量を超えるため、赤色で叱られることになります。(笑)

次にスマートフォン(iPhone用もAndroid用もあります)でSOTAMATというアプリをダウンロードし、インストール、ログインすると、先ほどPCで設定した組合わせがすでにサーバーに登録できていると思います。

Step2の「Load Configuration from Server」でこの設定をスマホにダウンロードしておきます。 これで山でネットワークが無くてもオフラインでスマホから山岳ID、周波数、モードを選定できることになります。

Step3は全山岳データのダウンロードなので、特にやる必要はありません。

実際に山に行ったときに、スマホでこのアプリを立ち上げて、下にあるSpot SOTAをクリック。

山岳IDとバンドモード、周波数を選択すると、送信する「S  JA1CTV/1JXF」というコードが出てきました。

これはたまたま/1 になってしまいましたが / 以下の4文字「1JXF」が山岳ID、周波数、モードを表しているコードになります。 これがSOTAMATのサーバー内で保存されているデータのJA/KN-001, 7MHz CW, 7.003MHz という組合わせと紐づけられているわけです。

Play FT8 Audioをタッチすると、きちんと15秒ごとに時刻同期がとれた形で音声が出てきますので、これをマイクで拾ってALCが振れない範囲で送信することになります。 全部で5回Odd, Even両方で送信しますので、送信しっぱなしでOK。(注:ここは上記のYouTubeビデオとは違います) 5回送信したらリグを受信に戻します。 QRM回避のため、51Hz ずつシフトしながら5回送出します。 このあたりも、なかなか考えてありますね。

無事PSKReporterに拾ってもらえれば、SOTAMATサーバーからSOTA Watch3にスポットされます。

CWの場合はSOTAWatch3とRBNの組み合わせでアップされるのですが、これが拾ってもらえない時や、SSB、FMなどの時はとても便利ではないかと思います。

 


JA1CTV
PC・デジモノの道

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