3Y0J Bouvet Isl(血の通ったCW)


33年ぶりのブーベ島からのQRV、その後の経過ですが、

本日未明にいったん補給のため船に戻ったメンバーがログを船に持ち帰り、ログのアップロードを衛星経由行ってくれました。 18MHzと21MHzのCWで正しくログの確認ができました。 感謝の気持ちでいっぱいです。

FT8についてもいくつかの交信ができたと思っていますが、こちらはまだログが上がっていないようです。 だいぶパイレーツも出ているようで本当にできているのかどうかは未知数です。 怪しいものもあります。 FT8のQSOでは声や打鍵のスピード、QSBの様子、聞こえ方などが体感できないのでパイレーツが出てもなかなか判別できないところがあります。

一方で、今回、ログが上がる前からCWの2QSOについては確実に本物の3Y0Jと交信できたという確信に近いものがありました。 特に21MHzでのCW QSOでは「血が通った人と人との交信」を体験したからです。

その時の様子がこれです。 運用しているスポットで邪魔をしたり、オンフレで延々と呼んでいたり、またそれを注意しているのか邪魔しているのか解らないUp Policeがウヨウヨと出てきて本当に大混乱なのですが、この録音を聞いてみていただきたいです。 これはそのようなJammingがいるにもかかわらず3Y0Jの素晴らしいオペレーションのおかげでQSOできた瞬間のものです。

全部で40秒ほどの録音ですが次のようになっています。

  • 0-3秒:私がコールしています
  • 3-5秒:すぐにUp Policeが出てきます。 私は当然Upで出ておりますので、おそらく私がコールしている時に誰かがオンフレで呼んでいたのでしょう。
  • 5-9秒:この間よく聞くと私へのコールバックがかすかに聞こえます。
  • 9-12秒:オンフレで呼ぶ局がまた出てきます。一応その方のプライバシーのため一部無音化しました。 間違いは誰にでもあります。
  • 12-14秒:またまたUp Policeが出てきます。
  • 14-31秒:17秒間の心無いビート妨害が入ります。 耳障りでしょうが、そのまま録音されています。
  • 31-34秒:ビートが切れた瞬間に注目してください。 なんと私へのコールバックです。 このタイミングの素晴らしさ、オンフレをモニターしてくれていたとしか思えません。モニターしていないとしても17秒ものビートの間、ずっと私を呼んでいてくれたことになります。 感謝感激です。
  • 34-36秒:いきなりリターンが返ったことに驚いてちょっとした間のあとすぐにレポートを私から送出。

どうでしょう。これは時間はカットしていない全録音です。一部オンフレ局のコールをマスクしましたが、録音時間はカットしていません。 こんな素晴らしいオペレーションは体験したことがありません。 18MHzは前回録音をアップした通りですが、打鍵のスピード、タイミングが同じで明らかに共通点があります。 人の顔や指紋のような本人認証のようなものをCWの交信の中では感じることができます。

以前からFT8に感じたこと、「FT8はPCが通信をしているだけ、無機的なもの」という感覚は、今回のCWでの素晴らしいオペレーションによる感動で理解できた気がします。 このあたりがFT8には無い「血の通った交信」なのだろうなと思います。 CWといっても599だけの機械的なところもありますが、やはりFT8には無いものが確実にあります。 もちろんFT8にも素晴らしい魅力があり、実際今までなかなかできないエンティティともQSOを可能にしてくれた素晴らしい技術であり、その点は私も感謝しています。

ところで3Y0JはFT8について、Fox/HoundでしかQRVしないということでしたが、当初、送信しているタイミングが15/45で通常のF/H運用ではありません。 私は普段、WSJT-Xを使っているのでマルチスレッドかとも思い最初戸惑いました。 すぐにJTDXではこの反転モードが可能であることを聞き、JTDXにてQSOすることができましたが、これは多くの人を混乱させたようです。 かなりの数の局が3Y0Jと同じタイミングで送信していました。 相手が聞こえていないので、3Y0Jが15/45で出ていることがすぐにわかると思うのですが、聞こえていない、見えていないにも関わらず、呼ぶ局がこんなにいるのかと愕然としました。

過酷な環境の中で命を張ってDX Peditionをやってくれている3Y0Jのメンバーにあらためて感謝します。 そして交信の邪魔をしないのは当然ですが、自分がオンフレになっていないか、聞こえてもいない、見えてもいない局を延々呼び続けていないか、再度自らの行動を見直し、この素晴らしい機会をみんなで分かち合い楽しみたいものです。

続く


JA1CTV
DXCCの道

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