SOTAアクティベーターの運用について


QSTの2023年3月号が届きました。

表紙からSOTAの紹介があり、「どんな運用がチェイサーに歓迎されるか」という記事をWW7D, Darryl Holmanさんが投稿されていましたので、簡単に紹介しておきたいと思います。 (SOTAについてご存知ない方はこちらをご覧ください)

記事は登山についてではなく、純粋に無線についての技術面や運用面でアクティベータが気を付けていたほうが、よりチェイサーに喜ばれるという観点から書かれています。 大半のことは皆さん既に行われていることと思います。 SOTAを最近始められた方のために要点だけ記載しておきます。

(以下要点引用)

1 信号強度の改善

SOTAは通常アクティベータとチェイサーで大きく設備バランスが違います。 山岳移動局は数W程度の出力を地上高数メートル程度の仮設アンテナから送受し、チェイサーはこの何倍もの出力と常設アンテナで運用していますので、まずは信号強度の改善です。 バッテリーやアンプなどの重量負担を増やさずに改善するにはアンテナ効率の改善が必要です。このためにはエンドフェッドアンテナまたはリンクダイポール(ギボシダイポール)が有効。 特に指向性の点でエンドフェッドが有効です。 さらにリグのセッティングやマイクゲインも適切に調整しておくことが必要です。

2 運用周波数

可能な限り広範囲にSOTAサービスをするために長短レンジでの交信に適した周波数で運用することが良いでしょう。 米国では14MHzでの運用が多いが近距離との交信のためにはローバンドも使用し、運用時間と運用バンドの適切な組み合わせで国内から海外と広範囲でチェイサーから呼んでもらうことができます。

3 運用方法

  • SOTAで一般的に使われている周波数で出ること: 例えば14MHz CWであれば 14.061~14.068が良く使われているようです。 SSBの運用周波数は明確ではありませんが、だいたいバンドの上のほうが使われているようです。
  • 応答を早くする: 呼ばれたらすぐに応答するようにしましょう。 ログ入力で時間がかかるのはよくありません。 このためにCWメモリーやボイスメモリーを使ってCQや定型QSO内容の部分を送出することで、自分がロギングをする時間が稼げるのであれば使ったほうが良いでしょう。
  • 効率的なQSO: パイルアップになっている時はQSOを効率的に処理して多くのチェイサーにサービスを提供しましょう。 ロングQSOは避けるべきです。
  • パイルアップをコントロールする: アクティベータの行動はチェイサーの行動に大きく影響を与えます。 パイルアップ時のQSO時間もアクティベータが必要なことだけを短く伝達するQSOをすることで、チェイサーも同じ動きになります。 またCQのあとパイルアップでチェイサーからのロングコールで最後に聞こえた局を取るようにしていると、それが有効であることがチェイサーに伝わり延々とロングコールが続きます。 最初に聞こえた局を取り続けることで、大きくQSOの効率が良くなります。
  • 交信パターンを固定する: CWでは交信の最後に「73 . . 」で終わるとか、SSBの時は 「73 こちらは(自局コールサイン) QRZ?」などとパターンを決めておくことで弱い信号に対しての了解度が高くなります。
  • S2S(山岳間)交信を優先する: 自分同様に山頂から運用している局は、小さな設備で呼んでくれています。 時々、S2Sはいないかを交信の間にいれてS2S指定でのコールバック時間を置くと良いでしょう。
  • 自局コールの送出をする: どんなにパイルアップでQSOの効率を上げたい状態であっても、QSO中に必ず一回は自分のコールサインを送出する。これは義務でもあります。たいていのチェイサーはすでに情報を持っているのでSOTA山岳IDを毎回送る必要はありません。 もし情報が無ければ聞いてくるでしょう。 S2Sの場合はチェイサー側からSOTA山岳IDを入れたほうが良いでしょう。
  • 標準フォネティクスコードを使用する: 自分のコールサインやSOTA山岳IDを送るときには標準のフォネティックコードを使いましょう。
  • フェージング対策をする: アクティベータからの信号は微かなものですので、フェージングによりQSO途中でチェイサーが取れなくなり、応答が返らない時があります。このような時は伝達内容を相手局コールサインからすべてリピートしましょう。 2回目の送出は短くしてもいいと思います。例えば「(相手局コールサイン)5NN 5NN (相手局コールサイン) BK」など。これで相手が取れる確率はぐんと上がります。
  • SOTA Watch2へのスポットをする: SOTA Watch2ではアラートを含め、セルフスポットも許されています。 可能な限りセルフスポットをしましょう。 アラートを事前にあげておくことで、CWでは自動スポットの仕組み(RBNとの連携RBNHole)があります。
  • テスト信号であることの宣言をする: 運用の前にアンテナ調整などでテスト信号を送るときはテスト信号だということを明言しましょう。 スポットでは多くのチェイサーが待ち構えて聞いていることがあります。

4 V/UHFでのSOTA運用方法

  • FMでCQを出した後にはスケルチをオープンにする: 通常はチェイサーのほうが設備が大きい場合が大多数なのですが、S2Sや遠方局からのコールがあるかもしれません。
  • 障害物の回避をする: 自分と相手局の間にある障害物を可能な限りなくしましょう。 立ち上がったり少し場所を移動したりすることで大きく感度が改善されます。
  • アンテナのオリエンテーション調整をする: ビーム方向をはじめ、アンテナの高さ、ハンディ機を高く持ち上げるとか横にしてみるとかで改善するときがあります。
  • SOTAチェイサーを優先する: 都会の近くの山ではメインチャンネルを使うと、とても多くの局から呼ばれる時があります。このような時にはメインチャンネルを使用せず、最初からシンプレックスのチャンネルで始めるのも良いでしょう。
  • メインチャンネルでのCQを変える: メインチャンネルを聞いている人はSOTAに興味のない人もいます。 メインチャンネルでは「CQ SOTA・・・」ではなく通常のCQとして「CQ・・・・XX山山岳移動局です」としたほうが興味を持ってもらえると思います。
  • メインチャンネルを可能な限り空ける: メインチャンネルで周波数をどこにするかを話すのではなく、メインチャンネルでCQに続いてどのシンプレックスチャンネルに移動するかを宣言してQSYするとメインチャンネルをいつまでも使うことにならないので良いでしょう。
  • 山頂での受信ノイズ軽減をする: 山頂に様々な中継無線局設備があってノイズがひどい場合はそこでいくらCQを出して、チェイサーが応答してもアクティベータ(自分)がチェイサー局を取ることができません。このような時はRF Gainを絞る、プリアンプを切るとか、さらに中継設備から離れたほうがいいでしょう。それでもダメな時は運用するバンドを変えたほうがいいでしょう。

(以上要点引用)

アクティベータの方はそれぞれの運用スタイルもあると思いますので、必ずしもこのように運用しなくてはいけないというものではありませんが、中にはコールサイン送出のように必要な義務事項もあります。これからSOTAを始めようとしている方にも、すでにバリバリにSOTA運用をされている方にも参考になればよいかと思います。

 


JA1CTV
山岳登山の道

2件のコメント

  • DS5SQS

    SOTA活性化に参考になる良い情報に感謝します。 あわせて上記の内容を韓国ソタクラブホームページに韓国語に翻訳して共有しておきました。 もし共有を許可しなければ、共有しておいた掲示物は削除するようにします。

    • JA1CTV

      Kim san
      Thank you. Your sharing this info is very much welcome to improve effective QSO for all SOTA activators and chasers.

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